質の良い睡眠のために、寝具は欠かせません。
多くの方は1日のうちの6~8時間を睡眠に充てています。そう考えると、およそ1日の3分の1の時間を布団の中で過ごしていることになります。
布団はわたしたちにとって、リラックスする場所のひとつと言えますが、梅雨時や夏などに布団から嫌なニオイがしたことはありませんか?
ニオイのせいでリラックスできずに睡眠の質も低下してしまうと、次の日に疲労が残ってしまうかもしれません。また寝起きにニオイがするのも、不快な気分になりますよね。
本コラムでは、心地よく眠れるための布団のニオイの原因・対策についてご紹介します。
布団が臭う原因は?
汗や皮脂によるもの
布団がニオイを発する原因は、雑菌です。
雑菌自体がニオイを発するわけではなく、雑菌がわたしたちの汗や皮脂を分解するときにニオイを発生させます。
この雑菌によるニオイの発生自体は布団だけに起こるわけではなく、洋服なども同様に起こります。
なぜ、布団はニオイが発生しやすいのでしょうか。
雑菌の繁殖しやすい条件①汗
人は寝ている間におよそ350~500mlもの汗をかくと言われています。この量はコップ1杯~ペットボトル1本分ほどであり、想像よりも多い量ではないでしょうか。
これだけの汗が布団に染みこみ、かつ布団の内側は密閉されているため、湿度が上がりやすいのです。湿度が高い状態は、雑菌が繁殖しやすい条件のひとつであるため、布団はニオイが発生しやすいと言えます。
雑菌の繁殖しやすい条件②皮脂
皮膚の新陳代謝は夜、寝ている時間に最も活発に働き、皮脂が分泌され、古くなった角質が大量に皮膚の表面に出てきます。
そのため、雑菌のエサとなる皮脂が多く布団に付着してしまうことで、より、ニオイの発生につながってしまいます。
体臭によるもの
特に加齢臭などの体臭も布団のニオイの原因です。
自分のニオイの場合には、なかなか自分自身では気づきにくいかもしれません。ニオイがつきやすい枕のニオイを嗅いでみる、ご家族などに確認をして対策をとるのがよいでしょう。
加齢臭の原因は「酸化」であり、食事や入浴習慣などの生活習慣で対策をとることが勧められています。
カビによるもの
布団は汗により湿度が上昇しており、皮脂などの汚れが付着しています。実は、高い湿度と汚れは、雑菌だけでなくカビを繁殖させる環境でもあるのです。
特に、以下の2つの場合には湿度が溜まりやすいため、カビが発生しやすい状態と言えます。
- 朝起きてから夜まで掛け布団をたたまず、そのままの状態にしている
- 床に直接布団を敷いている
本来、布団が吸収した汗による湿気は布団内部から出ていかねばなりません。ですが、布団を敷きっぱなしにしていることで湿気が逃げることができずこもってしまいます。
こうした原因よりニオイが発生したり雑菌やカビが繁殖したりする状態だと、睡眠の質が下がるだけでなく、アレルギーなどの健康被害を起こすリスクもあります。
ニオイだけでなく「ダニ」も要注意
ニオイを発するわけではありませんが、もうひとつ注意したいのが、ダニの存在です。
なぜ、ダニについても取り上げるかというと、ダニは数多くの健康被害を引き起こす可能性があるためです。ダニは布団以外にも、枕、絨毯、ソファなど家のさまざまな場所に生息しています。なんと、フケやアカといったエサが1gあれば約300匹のダニが生息できてしまうほどの繁殖力を持っています。
ダニの繁殖時期である5~9月ごろには特に注意が必要です。そのため、これからの梅雨の時期には、より対策が必要となってきます。
なぜ布団にダニは発生するの?
布団には、ダニが繁殖するのに適した条件が複数あります。
・60%以上の高い湿度
ダニは高い湿度を好みます。湿度60%以上で活発に繁殖します。布団に染みこんだ汗が湿気となり、布団を敷きっぱなしのままでは布団同士や床と密着している場合には湿度が高く保たれやすい環境といえます。
・20~30℃の高めの気温
ヒトも過ごしやすい高めの気温が最もダニが活発に繁殖します。そのため、気温において対策することは難しいといえます。
・ホコリ、食べカス、汚れなどの栄養分がある
わたしたちヒトと異なり、ダニとってはさまざまなものが栄養分になります。布団に落ちた髪の毛、付着している皮脂、垢、フケなどがそうです。
・住処
ダニにも身を隠すために住む場所が必要です。布団は繊維が密集しており、外敵から隠れるのに適した場所と言えます。
これらの条件が揃う布団には、数万~数十万匹ものダニがいるとも言われています。また生きているダニだけでなく、大量のダニの死骸やフンも布団の内部には溜まってしまうのです。
家の中にいるダニの種類
チリダニ(ヒョウヒダニ)
1年中みられ、家の中のダニの7~9割程度を占めるのが、この種類です。
ダニそのものや死骸、フンがアレルギーの原因となることもあります。絨毯、ベッド、布団、枕、ソファなどに生息します。
なお、人を刺すことはありません。
ツメダニ
梅雨や秋に増殖するダニです。
絨毯や畳に生息します。
他のダニもエサとして食べる特徴をもちますが、基本的に人を刺して吸血はしません。ただし、間違って人を刺すことはあるようです。
コナダニ
梅雨や秋に増殖する、特に高温多湿のときに繁殖力が高まるダニです。
食品や畳、家畜飼料などに生息します。
人を刺すことはなく、ツメダニのエサになるとツメダニが増殖します。
ダニによる健康被害
ダニは、カビなどと同様に健康被害をもたらします。
ダニの健康被害というと、刺されたときのかゆみを思い浮かべるかもしれません。もちろん、刺されることも健康被害のひとつです。しかし、生きたダニに刺される以上に、死骸やフンによる健康被害は多岐に渡ります。その一部が以下になります。
- アレルギー性鼻炎(くしゃみ、鼻づまりなど)
- 気管支喘息(咳など)
- アレルギー性結膜炎(目のかゆみ、充血など)
- アレルギー性皮膚炎(かゆみなど)
ニオイ対策という点からは脱線してしまいましたが、布団は毎日使用するモノです。ダニの数をなくすことは難しいですが、ダニの数を軽減するためのお手入れはニオイ対策にもつながります。そのため、日々、布団のお手入れをすることがオススメです。
清潔な布団を保つ方法
定期的に洗濯する
定期的な洗濯が清潔に布団を保つ上でオススメしたい方法です。
布団は繊維が詰まっていますから、天日干しや除菌スプレーをかけるだけではその効果は布団表面に留まり、内部まで清潔にすることはできません。
以下にオススメの洗濯頻度をご紹介します。
【週に一度】
- 布団カバー・シーツ
- 枕カバー
【半年ごと(布団を切り替えるとき)】
- 枕本体
- 掛け布団
- 敷き布団
家庭で洗濯が可能な布団なのかどうか洗濯表示や取り扱い情報などから確認しましょう。より詳しい洗濯表示が知りたい方は、以下の経済産業省へのリンクから確認が可能です。
また、ご家庭での選択難しい場合には布団クリーニングのサービスもありますので、利用するのもひとつの手です。
しかし、シーツやカバーとはいえ、1週間に一度の洗濯はかなりの手間となります。できるときは洗濯をしつつ、難しい場合には以下の対策も併せて行うと良いでしょう。
定期的に布団を天日干しする
布団を洗濯しない期間やできない時は、1~2週間に1回程度、天日干しをすることがオススメです。
天日干しのメリットは布団に篭っている湿気を乾燥させられることと紫外線を当てられることの2点にあります。その結果、湿気が乾燥しふかふかな寝心地に気持ち良いだけでなく、殺菌やカビやダニの抑制も期待できるのです。
天日干しにオススメの時間帯は、空気が湿気をあまり含んでいない午前9時~午後2時ごろ。また、片面だけを太陽に当てても不十分ですので、時間を分けて布団を裏返し、全面を天日干ししてください。
なお、天日干しにおける注意点が2つあります。
干す時間に注意
強い日差しによる長時間の天日干しは繊維を傷つけてしまう可能性があります。取り扱い情報から、天日干しが可能かどうか確認し、天日干しの時間についても調整してください。
布団たたきに注意
布団たたきを行うと、布団内部のダニの死骸やフンが砕かれてさらに分散してしまったり、当たりに飛散する可能性があったりして逆効果となりかねません。布団表面のホコリが気になる場合には、掃除機をかけるのが良いでしょう。
乾燥機にかける
日当たりが良くないご家庭や、天候・花粉によって天日干しができない場合には、その代替として乾燥機を使用しても湿気対策やカビやダニの抑制といった効果が期待できます。
最近の布団乾燥機にはダニを死滅させる働きの機能が付いている商品も多く販売されています。ダニは乾燥と熱に弱く、50℃で30分程度、60℃ではすぐに死滅しますから、ダニ対策としては天日干しと比べても効率よく効果が見込めます。
乾燥機にかけた後は、布団クリーナーなどでダニの死骸などを吸い取るようにしてください。
注意点としては、熱によって布団の繊維を痛める可能性があるため、頻度や温度に関しては布団の取り扱い情報を確認のうえ、行ってください。
天候や環境に合わせて、天日干しと乾燥機を使い分け、週に一度のお手入れとするとよいでしょう。
起きた後に除菌・消臭スプレーをかける
月に2~4回程度、布団を天日干しや乾燥機にかけ、週に一度、シーツやカバーを洗うとご紹介しましたが、必ず毎回それらのお手入れをすることは難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。また、週に一度や月に二度のお手入れでは間に合わず、ニオイにお困りの方もいるかもしれません。
そういった方にオススメなのが、毎朝、起きたら除菌・消臭スプレーを布団にかけることです。
除菌・消臭スプレーの中にはウイルス・菌だけでなくカビにも効果を期待できる商品もあるため、スプレーをするだけでさまざまな効果が期待できます。
スプレーをした後には、床と布団、掛け布団と敷布団を離して湿気がたまるのを防ぎましょう。なるべく立てかけたり、室内干し用のラックにかけたりするなどして、乾燥させてください。
ただし、除菌・消臭スプレーはダニを死滅させる商品はほぼありませんが、中にはダニの死骸をアレルゲンとして反応しないように、不活性化させる働きをもつ商品もあります。
除菌・消臭スプレーは商品によってその効果が変わってくるため、どの除菌・消臭スプレーが良いのかイマイチ分かりづらいという方へ、ひとつオススメの商品をご紹介します。
ナノクロシステム株式会社が販売する「i-cloco(イークロコ)」という安定型次亜塩素酸ナトリウムを除菌成分とする除菌・消臭スプレーです。
i-clocoは、除菌・消臭だけでなく、ニオイの原因となる菌を住みにくい状態にする抗菌作用と、ニオイの発生を防ぐ防臭効果があることで、布団のニオイ対策にぴったりな商品です。
また、ウイルス・菌だけでなく、カビの抑制にも効果を発揮し、ダニの死骸や花粉といったアレルゲンの不活性化の機能も備えています。
そのため、この商品は、布団の衛生において気になる点に幅広い効果が期待できます。「i-cloco(イークロコ)」の詳細が気になる方は以下のリンクからご覧ください。
→「i-cloco」の楽天市場ページへ
また、布団の他にも洗えないモノへの除菌として、除菌スプレーの選び方や比較について別のコラムでご紹介しています。気になる方は以下のリンクからご覧ください。
→「洗えないモノの雑菌・ニオイ対策で大活躍!除菌・消臭スプレーの正しい使い方」
布団を干せないマンションはどうすべき?
マンションにお住いの場合、布団の天日干しができないという方もいるのではないでしょうか。
その理由はマンションによって様々ですが、景観や安全性といった問題のためにマンションの規約で定められていたり、間取りの関係上、天日干しができなかったりする場合もあります。
そういった場合には、ベランダの内側に布団干しスタンドや椅子にかけて干す、室内でエアコンを使用して湿気を飛ばすなどの方法があります。また、これまでご紹介した乾燥機と布団クリーナー、除菌・消臭スプレーを活用しましょう。
その他にできること
汗や皮脂汚れ、体臭を防ぐ
・カラダを清潔にしてから寝る
疲れているときなど、ついお風呂に入る前に布団に横になってしまうという経験がある方もいるかもしれません。
しかし、1日活動した状態というのは汗、皮脂やホコリなどがカラダや髪の毛に付着している状態ですから、お風呂に入って汚れを落としてから布団に入るようにしましょう。
・吸汗速乾に優れたパジャマを着る
人は寝ている間におよそ350~500mlの汗をかくとご紹介しました。その汗がなるべく早く乾くようにパジャマにも気を配るとより効果が期待できますし、睡眠の質も高まるかもしれません。
湿気対策をする
・すのこ・防湿マットを使う
布団と床が常に接している状態は、湿気がたまりやすくカビの発生につながります。すのこや防湿マットを布団と床の間に敷くことで除湿ができ、カビの抑制が期待できます。
また、ベッドの場合は、通気性の高いベッドフレームを選ぶことが大切です。
・万年床は避ける
1日中、布団をそのままにすると湿気が布団と布団の間や、布団と床の間に溜まってしまいます。
朝起きたら布団を干す、立てかける、たたむのいずれかを行い、乾燥させましょう。
布団を清潔に保つ方法に関するよくある質問
布団はどのくらいの頻度で乾燥機にかけるといいですか?
1週間に1回の頻度がオススメです。ダニを死滅させ、布団に染みこんだ汗による湿気も乾かすことができます。梅雨の時期には、週に2~3回と回数を増やすと良いでしょう。布団をより清潔な状態に保つことが期待できます。
布団・枕カバーやシーツはどうお手入れすればいいですか?
布団・枕カバーやシーツは直接、肌や髪の毛、汗が触れる場所のため、汚れが付きやすいです。そのため、1週間に1回は洗濯をしましょう。また、毎朝除菌・消臭スプレーをかけ、布団を干す、立てかける、たたむ等をして湿気が布団内部に溜まらないようにすることも大切です。
マットレスの湿気対策はどうすれば良いですか?
マットレスは洗うことができないため、部屋を換気したりエアコンを使用したりして、風通しを良くした状態で乾燥させましょう。そのときに、マットレスを立てかけることで一度に乾かす面積を増やすことができます。また、カビ防止もできる除菌・消臭スプレーをかけることで防カビの効果も期待できます。
まとめ
布団のニオイ対策についてご紹介しました。
毎日使う布団は、汚れ・菌・カビ・ダニとさまざまな問題を抱える可能性があります。そのため、日々のお手入れをしっかりと行い、清潔に保つことが大切です。
1日の終わりに、綺麗な布団でリラックスして寝られるように、ぜひ実践しましょう。