わたしたちの生活に欠かせないアイテムとなってきているスマホ。連絡ツールとしてだけでなく動画の視聴など、四六時中、手放さずに過ごす方も多いのではないでしょうか。
実は、スマホは想像以上に目に見えない汚れがついていることをご存知でしょうか?
皮脂汚れや手垢とは異なり、汚れが目に見えづらいため、本当に?と思う方も多いはず。今回のコラムでは見えない汚れを可視化する実験を行いました。また、除菌効果が本当にあるのかについてもさまざまなパターンで試しています。
ぜひ最後までご覧いただき、スマホの除菌する習慣を身につけましょう。
2020年、家庭用衛生関連用品の市場は5.6倍に?!
スマホの除菌についてお話する前に、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行により、わたしたちを取り巻く生活様式が一変したことは記憶に新しいと思います。その中で、マスクなどの感染対策とともに除菌や消毒に関する話題も目にすることが多くなりました。
富士経済は、コロナウイルス感染症の流行により、家庭用衛生関連用品の国内市場が急増したという発表しています。手指の消毒だけではなく、スマホやマスク、小物など身の回りのモノの除菌に関しても関心が高まったことがわかります。
除菌が必要なワケ
わたしたちの生活環境には、多くの有害物質が存在しています。
空気中に浮遊していたり、物に付着していたりとさまざまな場所に存在しているのですが、目に見えないために、知らず知らずのうちにカラダの中に取り込んでしまっている可能性があります。長期間摂取し続けてしまうと、病気やアレルゲンを発症してしまう場合も。そういった事態を防ぐためにも、除菌をすることが必要と考えられています。
除菌には、その対象によって2種類に分けることができます。
物体除菌
モノに付着しているウイルス・菌などを除菌することです。
モノに付着したウイルスや菌が、手を介して体内に侵入することによる感染リスク(接触感染)を低下させます。
空間除菌
空気中に浮遊しているウイルス・菌などを除菌することです。
浮遊したウイルスや菌などを吸い込むことによる感染リスク(空気感染や飛沫感染)を低下させます。
スマホの場合はは物体除菌に該当します。
空間除菌について詳しく知りたい方は以下のリンクからご覧ください。
→「空間除菌製品と空気清浄機の効果は違う?メリットとデメリットをまとめました」
日常生活に欠かせない『スマホ』。なぜ雑菌が多い?
人は1日にどれくらいスマホを触っているのか
2020年にGlossomデータインサイトラボが行った調査によると、スマホの1日の平均利用時間は126.6分とのこと。
1日およそ2時間ずっと触りっぱなしというよりも、待ち時間などの合間に何度も触るほうが多いというデータがあります。
2017年にインテージが行った調査によると、スマホの1日の使用回数は48回(中央値を採用)なのだそうです。
この数字は、ロック画面のまま通知や時刻を確認する回数も含まれているそうです。1日に起きている時間を仮に16時間とすると、1時間に平均3回触っていることになります。通知や時刻を確認する回数を含んでいても、意外と多く感じますよね。
みなさんはどんなときにスマホに触っているか思い出してみてください。そんな何気なくスマホを触っているとき、あなたの手やスマホは雑菌で汚れている可能性があるのです。
スマホに雑菌が増える原因
・あらゆる所に触れる手でそのままスマホを触っている
生活において、手を使ってモノに触れるという行為は四六時中発生しています。そのため、モノに付着したウイルス・菌などが手に付着する機会は同様に四六時中あります。その手でスマホを触ると、当然手からスマホに菌が付着します。
・皮脂がつくと雑菌の温床に
皮脂とは、毛穴から出てくる脂のことです。スマホの画面がべたついたり、画面が濁って見にくくなったりするときは皮脂汚れや手垢によるものです。
手からは皮脂が分泌されませんが、手で頭や顔を触ると皮脂が付着し、その手を介してスマホに皮脂が付着します。また、通話する際に直接皮脂が画面に付着することもあります。そうしてスマホに皮脂や垢が蓄積されていきます。
皮脂や垢があると、雑菌は繁殖しやすい状態となってしまうのです。
スマホに雑菌が付く使い方をしていませんか?
増える原因のほか、使用場所にでも雑菌が付着してしまうこともあります。
・食事の際にSNS用の写真を撮る
写真映えするような料理が出てきたとき、写真を撮りたくなりますよね。しかし、おしぼりで手を拭いた後に写真を撮った場合にはスマホに付着した菌やウイルスがせっかく綺麗にした手に付着する可能性があります。そのまま食事を行うと、手に付着した菌やウイルスも一緒に摂取しかねません。
・トイレなどにスマホを持ち込んで長居してしまう
トイレは排泄する場所ですから、さまざまなウイルスや菌が潜んでいる可能性があります。大腸菌やO-157などの活動が盛んな夏や冬などの時期は特に、公衆トイレやオフィスのトイレなど公共の場は注意が必要です。個室で使用しないことのほか、洗面器などの近くに一時的に置く場合も注意しましょう。
トイレから出たら手は洗えますが、スマホは洗えません。基本的にトイレではスマホは使用しないことが一番です。
スマホの正しい除菌方法は?正しいお手入れをチェック!
従来、アルコール系消毒剤は、液晶画面のコーディングを傷つけたり、変色させたりするリスクがあることから使用はオススメできませんでした。
しかし、新型コロナウイルスの感染対策として、各端末メーカーはアルコール系消毒剤を利用したお手入れ方法も案内しております。そちらの方法を知りたい方は以下のリンクからご覧ください。
→ソフトバンクニュース「スマホも除菌できる?覚えておきたい正しいお手入れ方法」
液晶画面のお手入れ方法
画面の軽い汚れをとりたいとき
スマホの画面の皮脂などの軽い汚れを拭くときには、柔らかくて繊維が細かいスマホ専用のクリーニングクロスを使用しましょう。
クリーニングクロスは、マイクロファイバーからできていることが多く、吸水性や保湿性に優れた素材からできています。そのため、軽くこするだけで脂汚れを吸い取ってくれるだけでなく、画面に傷やダメージを与える心配があまりありません。
気が付いたときにサッと行える、簡単なお手入れ方法です。
スマホ全体の汚れをしっかり落としたいとき
スマホの汚れや付着したウイルス・菌などをしっかり落としたいときには、クリーニングクロスにプラスして除菌成分を含む製品を使用することがオススメです。先ほどご紹介したアルコール系消毒剤を使用することもこのケースですね。なお、アルコール系消毒剤を使用するのはスマホを傷つけてしまわないか心配な方もいるかもしれませんので、アルコール以外の製品についても後述していきます。
お手入れ方法を簡単に図にしています。
クリーニングクロスがないときは、糸くずが出ないタイプの柔らかいタオルの使用をおすすめします。
スマホケースのお手入れ方法
スマホ本体をしっかり掃除するときに、スマホケースも一緒にお手入れをしましょう。スマホケースのお手入れ方法は、ご使用のケース素材によって変わってきますので、一覧にまとめています。
なお、除菌成分である安定型次亜塩素酸水に関しては、製品によって濃度や効果が異なるため、ナノクロシステムが販売する「i-cloco」を参考にしています。アルコールを使用することによってケースが変色してしまう場合がありますので、使用は避けましょう。
上記の掃除製品や除菌製品を使用してお手入れをしていきます。どの場合もスマホからスマホケースを外した状態でお手入れをしましょう。スマホ内部に水分が入り込んでしまったり、スマホとケースの間に水分がたまったりするのを防ぐためです。
汚れなどが落ちなくなってきたら、買い替えを検討するのもひとつです。見た目はもちろんウイルス・菌などの繁殖を抑制するという意味からも、定期的に買い替えることはオススメです。
スマホを除菌する時の注意点
ティッシュ等でこすらない
汚れが気になったとき、すぐ身近にあるティッシュで拭いてしまった経験がありませんか。実は、ティッシュでの掃除はオススメできません。
ティッシュは皮脂汚れを取りきることができないため、ゴシゴシとこすると皮脂を引き延ばしてしまいます。そのときに画面のコーティングを傷つけてしまったり、繊維がスマホの端子部分などに入り込んでしまったりする可能性があります。
除菌するときにはスマホの電源をオフにする
先ほどご紹介した手順の②の部分です。
電源が入ったままお手入れをしてしまうと、水分が内部に入り込んでしまったときにショートしてしまい破損の恐れがあります。必ずオフにしてからお手入れを行いましょう。
漂白洗剤などは使用しない
除菌効果が高いからといって、漂白洗剤を使用することはやめましょう。コーティングがはがれる原因となってしまいます。
歯ブラシを使用して端子部分の掃除をする
細かい部分の掃除に歯ブラシを使用する方もいるかもしれませんが、スマホの端子部分の掃除には適していません。端子の内部を傷つけてしまう可能性があり、接続不良になってしまうことも。
端子部分の掃除は特に気を付けたい部分です。最近では端子部分の掃除専用のアイテムも販売されています。なお、綿棒やつまようじを使用した掃除方法は各端末メーカーのホームページや案内には記載がありません。(2021/2/1現在)
スマホにつくウイルスや菌を除菌できるグッズ
除菌シート・クロス
クリーニングクロス
何度も登場しているクリーニングクロスは、どの機種にも使えますし、長期間使用できることからコスパもよいので1枚持っておくことをオススメします。夜、アラームをセットするときなど、クリーニングクロスで画面をサッとひと拭きして皮脂や垢などの汚れを落とす習慣をつけられたらいいですね。
除菌シート
一言で除菌シートといっても、アルコールや次亜塩素酸なのかなど成分によって使い方が異なってきます。また、水分をたくさん含むものに関しては内部に水が入らないように注意して使用することが必要です。
注意点はいくつかありますが、理解したうえで使用すれば除菌と手垢などの汚れを落とすことを一気に行えて一石二鳥の製品といえます。
スマホUV除菌
だんだんと注目されてきているのがUV除菌です。
スマホUV除菌とは、専用の機器にスマホを入れて、UVライトを照射することでウイルス・菌などを除菌するという製品です。
メリットは置いておけばよいだけのため、手軽であるということです。また、スマホの充電機能やアロマ機能がついている多機能な製品もあります。
デメリットは少し高価であることと、付着した手垢や皮脂自体を取り除くものではないことです。
安定型次亜塩素酸ナトリウムを用いた除菌製品
安定型次亜塩素酸ナトリウムは、除菌成分のひとつとして使用されています。次亜塩素酸のデメリットを解消するためにつくられた成分で、幅広い分野に使用できます気になる方は以下のリンクからご覧ください。
→「安定型次亜塩素酸ナトリウムの効果は?安全性や使い方について」へ
スマホの除菌には、直接スマホにかけるのではなく、クリーニングクロスなどの柔らかい布に吹きかけて使用しましょう。
メリットは除菌とともに皮脂汚れも取り除くことができることやスマホだけでなく、マスク・ドアノブ・枕・靴箱など幅広く使用できる点です。また、変色する可能性もアルコールなどと比べて低いことが挙げられます。
デメリットは人体に直接かからないように注意が必要なことと、製品の安全性を見極めることが必要なことです。
オススメ商品は、先ほどご紹介したナノクロシステムの「i-cloco」です。気になる方は以下のリンクからご覧ください。
→「i-cloco」を販売しているナノクロシステムのブランドサイトはこちら
【検証】スマホの菌はどれくらい?それぞれのお手入れ方法を試しました
菌を可視化する方法
ここまでスマホの除菌についてご紹介してきましたが、本当にスマホには菌が付着しているのでしょうか。実際にスマホの菌を可視化し、それぞれのお手入れ方法でどのように変化するのか実験してみました。
※今回の測定結果がすべて正しいというものではありません。実験の環境や条件によって異なる場合もありますので、あくまで今回の実験の結果としてご覧ください。
■使用したもの
・クリーンスタンプニッスイ 生菌数用 SCD寒天
・LifeBasis 自動孵卵器 インキュベーター
■培養時間:24時間
■培養温度:35.3℃
■測定方法
①何もしないそのままの状態のスマホ画面にスタンプしてサンプリングする
②1つのスマホの画面を3等分する
③以下のお手入れ方法をそれぞれの場所で実施(4回画面を拭く)
・クリーニングクロス
・除菌シート
・i-cloco(イークロコ)
④それぞれの場所にスタンプしてサンプリングする
⑤孵卵器の中に4つのクリーンスタンプを設置し、約35℃で24時間培養
実際にスマホの菌を可視化した結果
今回測定したものは、3年間使用しているスタッフのスマホです。使用状況は1日3~4時間ほど、お手入れは1か月ほどしていません。
よくご覧いただくと、画面に皮脂が付着しているのが分かります。このスマホから菌をサンプリングした結果はこのようになりました。
白く大きな円形状の菌がはっきりとわかります。目で見えると、汚れているという実感がわいてきますよね。
4回サンプリングをして、24時間培養しました。それではそれぞれのお手入れ方法のあとの培養結果をご覧ください。
まず、スマホお手入れ用のマイクロファイバーで拭いたものがこちらです。
マイクロファイバーは皮脂や手垢などをふき取ってくれる効果がありますが、菌も少し減っているように見えます。毎日のお手入れには効果が期待できそうですね。
次に、スマホお手入れ用の除菌シートで拭いたものがこちらです。
今回の結果では菌が最も多くいる状態となりました。個包装のウェットタイプのシートを使用したのですが、個包装から取り出したところすぐに気化してしまったように感じました。今回の実験の環境では効果をあまり発揮できなかったのかもしれません。
最後に、安定型次亜塩素酸ナトリウムを使用したi-cloco(イークロコ)で拭いたものがこちらです。
今回の実験では、最も菌がいない状態となりました。安定型次亜塩素酸の効果が遺憾なく発揮できたのではないでしょうか。安定型次亜塩素酸水をマイクロファイバーに吹きかけてスマホを拭くというお手入れは効果を期待できる組み合わせのひとつと言えそうです。
まとめ
わたしたちは、スマホの画面に映るものはよく見ますが、スマホそのものに目を向ける機会はあまりありませんよね。
しかし、実験のをお見せしたように、思った以上にスマホは汚れています。部屋やトイレを習慣として掃除するのと同じように、ぜひスマホの除菌も心がけてみてはいかがでしょうか。