新型感染症が流行し、その対策として手洗いが挙げられたほか、「(手で)顔に触れないこと」もあることをご存知ですか?
わたしたちは普段から色々なものを触っていますが、特に顔は無意識に触ってしまうためなかなか気をつけるということも難しいのではないでしょうか。
このコラムでは、菌やウイルスが付着した手で顔に触れるリスクと、無意識に触らないための対策をご紹介します。
雑菌やウイルスは日常生活で触れるあらゆる所に存在します
顔に触れることのリスクをお話する前に、手にウイルスや菌が付着してしまう原因をご紹介します。
外出時に触れやすい注意が必要なモノとは
日常生活における外出の際、どんなものに触れているか思い返してみましょう。
通勤、オフィス、外食、ショッピング、子どもと公園、イベント、スポーツなどさまざまな外出シーンがありますね。
外出時にはさまざまなウイルスや菌と触れる可能性があります。例えば風邪に感染した人のウイルスがドアノブを介して付着しているかもしれません。人が多ければ多いほど、さまざまなウイルスや菌がいる可能性はさらに高くなります。
具体的に存在している可能性が高い場所は、例えば以下のような他人と共有するモノが多いのが特徴です。
- 通勤時の電車やバスのつり革
- お店やオフィスのドアノブ
- スーパーなど買い物で使うカートやカゴ
- エスカレーターや階段の手すり
- エレベーターのボタン
- 飲食店のテーブル
- お金(おつり)
- 公園の遊具
- 公共トイレ
また、基本的に自分しか触らなくても、ウイルスや菌が付着している可能性が高いモノもあります。
- スマホ
- パソコンのキーボードやマウス
- マスク
- イヤホン
マスクは、感染対策グッズの一つではありますが、付け外し方を気をつけないと手に菌やウイルスが付着してしまいます。マスクを外す際は、耳のゴムを触るようにし、外側の面にはなるべく触れないようにしましょう。
→「正しくマスク選べていますか?マスクの正しい付け方とサイズ選びのポイント」コラムへ
すべてのウイルスや菌を気にするのは難しいと感じるかもしれませんが、まずはさまざまな場所に存在しているということを理解することが大切です。
抗菌・抗ウイルス加工されているモノは安心?
2020年、感染対策の意識が高まったことから、製品を選ぶ基準のひとつとして、「抗菌加工・抗ウイルス加工」を意識される方も増えたのではないでしょうか。また、公共トイレや手すりなどにも抗菌加工の表示を見かけるようにもなりました。
抗菌・抗ウイルス加工されていると、なんとなく安心される方が多いかもしれません。
しかし、抗菌・抗ウイルス加工とはどのような効果があるのか具体的に知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
押さえておきたいポイントは、細菌とウイルスはまったく違うモノであるということと、細菌は生きものであり、ウイルスは生きものではないことです。
菌・ウイルスの違いは?
別のものへアプローチするわけですから、抗菌・抗ウイルス加工の内容も異なります。
抗ウイルス加工されているものの中には、抗菌・抗ウイルス加工をどちらも施している製品もあります。
抗菌・抗ウイルスとは?
抗菌・抗ウイルスマークが気になる方は以下のリンクからご覧ください。
・SIAA(抗菌製品技術協議会)のホームページへ
・SEK(繊維評価技術協議会)のホームページへ
抗菌・抗ウイルスともに、製品表面に付着したものに限るということ、その表面が汚れていると効果が得られない可能性があることは押さえておきたいポイントです。
抗菌・抗ウイルスと書いてあるから絶対に大丈夫というわけではありませんが、安心材料の目安のひとつとして捉えることがオススメです。
そのため、抗菌・抗ウイルス加工がされていても、手洗いはこまめに行うようにしましょう。
外出中のウイルス対策は「顔を触らない」こと?!
先に記載したとおり、外出中、どんなに注意しても菌やウイルスは手に付着する可能性があります。
しかし、手に付着した「だけ」では感染はしていません。
それでは、いつ感染するリスクがあるのでしょうか。
接触感染では、そのほとんどが目・鼻・口といった粘膜からウイルスが侵入することが条件となります。実は、それが起きるタイミングのひとつに、「顔を触ったとき」が挙げられるのです。
そもそも人はどのぐらい顔を触っている?
顔をどのくらい触っているか数えている人はいないに等しいくらい、普段から無意識に触っている方がほとんどではないでしょうか。実際にどれくらい触っているのか、厚生労働省が出したデータがあります。
以下の表でご覧ください。
厚生労働省が発表したデータでは人は「1時間に平均23回」顔に触れるとされています。このデータを基に1日に顔を触るおよその回数を計算してみましょう。単純な計算なので、目安として参考にしてください。
1日24時間のうち、
・睡眠時間:7時間
・活動時間:17時間
と考えます。
1日に顔を触る回数を単純に計算すると以下のようになります。
- 顔を触る回数:17時間×23回=およそ391回
- 目・鼻・口などの粘膜を触る回数:およそ391回中44%=およそ172回
なかなか実感できない数字かもしれませんが、思っている以上に多く顔を触っていることがわかりました。
これを踏まえると、1日のうちに感染してしまうタイミングはかなり多いということになります。
ウイルスがついた手で顔を触るとどうなる?
ヒトは顔を1時間に平均23回触わっており、そのうちの44%は目・鼻・口といった粘膜部分でした。
これら粘膜部分は、ウイルスや菌の侵入経路となってしまう可能性があります。
「顔を触らないこと」がウイルス対策になるというのはこれらの粘膜部分を触らないことに等しいのです。そのため、ウイルスや菌が付着したままの手で、以下のような行動をすると感染するリスクがあります。
- 目をこする
- 鼻をこする
- 鼻をつまむ
- 口を触る
- 手づかみでものを食べる
こういった行動を減らすことで、リスクを下げることが出来ます。
顔を触らないように意識することできる?
人は顔を「無意識」に触る
そもそもなぜヒトは顔を触ってしまうのでしょうか。
さまざまな研究がされていますが、1つの記事をご紹介します。
精神分析医でケンタッキー州で心療内科クリニックのディレクターを務めるケビン・チャップマン(Kevin Chapman)氏によると、自分の顔に触れることは、周囲の人の中で無意識に自己認識するサインで、それは非常に人間的な習慣だ。
「自己認識とは、他人から見た自分自身を認識することで、社会的な交流の中で必然的に起きるものだ」と、 チャップマン氏はBusiness Insiderに語った。
「もともと、人は他人の顔を観察して、さまざまな顔の特徴に敏感に反応する。自分の顔に触れることは、そういった傾向と関連する自然な動作かもしれない」
引用:BUSINESS INSIDER「ウイルス感染を招くのに、人はなぜ自分の顔を触るのか…専門家がやめる方法をアドバイス」
無意識に顔を触る行動は、ヒトのカラダに染みこんでいる習性であるようです。
しかし、ウイルスや菌から身を守るためには、顔を触る行動をできる限りコントロールする必要があります。
しかし、習慣としてずっと続けていることを、ただ「やってはいけない」と思うだけで止めることは難しいはずです。
それではどのようにしてコントロールしたらよいのか、いくつか具体的な例をご紹介していきます。
意識がけの工夫をすることで、顔を触る回数を減らす
メガネをかける
メガネをかけていれば、無意識に目を触ろうとしても一度メガネを外す必要が出てきます。その最中に、目を触ろうとしていたことに気づけますので、行動を変容させられますね。
気づくことができたあと、清潔なハンカチを利用するなどして直接は触れないようにしましょう。
ふだんメガネをしていない方も、メガネは花粉対策にもなりますし、メガネによってはブルーライトカットのPCメガネ、UVカットメガネなど、さまざまな効果も得られます。
髪の毛を触ってしまう人は結ぶ
特に髪の毛が長い方は、つい髪を何度も触ってしまうクセがある方が多いのではないでしょうか。
忘れがちですが、髪の毛もウイルスや菌は付着します。髪の毛を下したままご飯を食べているときに誤って髪が口に入ってしまうことも。
髪を結ぶことで、触る頻度も口に入ってしまうことも減らすことができます。
座っている時は足の上に手を置く
手で何かを使用しない時間には、手の置き場所を決めておくことはオススメです。無意識に手を動かしてしまっても、手が足から離れたときに感覚で気づくことができます。
手を握っておく
上記の足の上に手を置いておくときにも併用するとオススメなのが、手を握ることです。手を握っておけば顔を触りにくいですので、むやみに顔を触ることをコントロールすることにつながります。
頬杖をつかない
デスクワークの方はついやってしまいがちなのが、頬杖をつくことではないでしょうか。
頬杖は顔を触るきっかけを作りやすいため、つかないようにしましょう。
また、姿勢の崩れは肩こりや腰痛などにもつながりやすいため、健康的に日々を過ごすためにも姿勢を正して座るという意味でもおすすめです。
手の甲や手首を使う
目のかゆみなどの突発的に我慢できない事態が起こり、ハンカチが近くにない場合もあるかもしれません。
この場合には、指先でこするよりも、手の甲や手首を使うようにしましょう。
その理由は、花王によると、手の汚れや菌の数は、爪>指の腹>指の間>手のひら>手の甲の順番だったからです。
少しでも感染リスクを下げられるように、ぜひ工夫してみましょう。
手を清潔に保つ方法
こまめに手を洗う
顔を触る行動をコントロールする方法をご紹介しましたが、回数をゼロにすることは難しいはずです。無意識に触っている可能性もありますから、手をキレイに保つことと並行してダブルで対策することが大切です。
厚生労働省が推奨している正しい手の洗い方がこちらです。
また、適切なタイミングでこまめに洗うことで、より手を清潔に保つことができます。以下のタイミングのときには、手を洗うようにしましょう。
- 外出後
- 食事の前後
- トイレの後
- 咳やくしゃみ、鼻をかんだ後
- 病気の方のケアをした後
除菌グッズを使う
除菌グッズを使用することで、外出中の対策をすることができます。そのときに、以下のどちらかもしくは両方を行うことがオススメです。
自分の手を除菌する
顔を触る前に手を除菌する方法です。
この方法は、さまざまなモノを触って付着したウイルスや菌をカラダに「持ち込まない」ようにする対策といえます。
オススメの製品としては、アルコールスプレーやウェットティッシュなどがあります。高い効果を期待するなら、濃度の高い医薬品・医薬部外品のものを選びましょう。ただし、濃度が高いと肌荒れになりやすいので、注意が必要です。
1つ持ち歩いておくとなにかと重宝できますから、携帯することを習慣にしましょう。
使うモノを除菌する
これから使うモノを除菌する方法です。
この方法は、手に付着するウイルスや菌を減らすことと、モノを仲介してウイルスや菌が「拡がらない」ようにする対策といえます。
例えば、公共トイレの便座、オフィスで使用する共有物(文房具、電話機、コピー機、冷蔵庫など)といった外出先のモノや、自分だけが使うがウイルスや菌が付着している可能性が高いスマホ、イヤホンなどがあります。
オススメの商品としては、金属や革製品などにも幅広く使用できる成分の安定型次亜塩素酸ナトリウムを使用した「i-cloco」(イークロコ)です。
家の中、外出中とあらゆる場面で活躍する除菌スプレーですので、気になる方はこちらからご覧ください。
→「安定型次亜塩素酸ナトリウムの効果は?安全性や使い方について」のコラムへ
→「i-cloco」の楽天市場ページはこちら
よくある質問
除菌ティッシュやハンドジェルを使うタイミングはいつがいいですか?
外出中の場合には食事の前後、公共のモノを触った後といった行動の前後や、顔を触る前にも使用すると安心です。在宅の場合にはこまめに手を洗うようにしましょう。
くしゃみをする時に手でおさえるのは大丈夫ですか?
くしゃみや咳などを行うと、飛沫の中にウイルスや菌が潜んでいる場合があります。マスクをしていない場合には、咳エチケットとしてハンカチや手でおさえるようにしましょう。その場合にはすぐに手を洗うこと、難しい場合にはウェットティッシュなどで代用したのちに手を洗うのがオススメです。 また、上着の内側や袖を使って覆うようにする方法などは厚生労働省からも咳エチケットとして推奨されています。
コンタクトレンズの使用は控えた方が良いですか?
使用を控える必要はありませんが、装着・着脱する前にきちんと手を洗うようにしましょう。また、清潔面を考えると1dayタイプのものがオススメです。ただし、顔を触らない対策や花粉対策にもなる点から、体調がすぐれないときや季節によってはメガネに替えることを検討してもよいかもしれません。
まとめ
顔に触れないことが感染対策につながることをご紹介しました。
しかし、顔に触れることは人間の慣習であることから完全になくすことは難しいでしょう。そこで、できる対策として本コラムで取り上げた3つの方法をまとめました。
- 顔に触る回数をコントロールする
- 手を洗う、除菌する
- 手で触れるモノを除菌する
まずは、自分がどんなときに顔に触れているのかなど、顔に触れることを意識して日々過ごすことから始めてみてはいかがでしょうか。