梅雨には除湿、夏には冷房、秋から冬にかけては暖房、サーキュレーター代わりには送風など、活躍する時期がとても長いエアコン。
突然ですが、あなたは定期的にエアコンの掃除はしていますか?
使用しない間、放置してしまうという方もいるかもしれませんが、その間にじわじわとカビが繁殖している可能性があります。本コラムでは、室内を快適に保つために欠かせないエアコンの掃除方法とカビ対策をご紹介します。
エアコンの活躍する夏も目前! でもその前に…
比較的、春や秋といった過ごしやすい季節はエアコンを使用しない方も多いかもしれません。例えば4月から2カ月ほど放置したあと、梅雨時の除湿のために久々にエアコンを稼働したとします。そのときにエアコンに以下のような症状があったことはありませんか?
- 吹き出し口に黒い点々がある
- ニオイが気になる、臭い
これらはエアコンに「カビ」が繁殖していると発生する症状です。カビが発生したエアコンを使用するリスクについて見ていきましょう。
エアコンの「カビ」を放置すると?
まず、エアコンの仕組みを見ていきましょう。
エアコン内部では、フィルター・熱交換器・送風ファンという役割を持ったパーツが働くことで温度調整と空気の循環という役割を果たしています。ドレンパンは、冷暖房により発生する水滴を受け止めてくれるもので、これがないとエアコンから水滴がポタポタ垂れてきてしまいます。
そのため、エアコン内部のどこかにカビが発生した場合、取り込まれた空気はカビの胞子が充満したエアコン内部を循環して室内に排出されるのです。
カビに汚染されたエアコンを長時間稼働することで、部屋中の空気がカビで汚れてしまう可能性があり、その問題点はニオイだけではありません。汚れた空気を吸い続けることで、実は健康被害を引き起こすかもしれないことをご存じでしょうか。
大量にカビの胞子を吸い込んでしまった場合に、以下の病気になってしまうことがあります。
- 喘息
- 肺炎
- アレルギー性鼻炎
- アトピー性皮膚炎などの皮膚の異常
特に小さな子どもは、大人に比べて免疫力が低いことから、大人よりも発症率が高くなりやすいのです。
そのため、エアコンを使用する前と、長期間使用しなくなる前にはエアコンの手入れをしてカビの発生を抑制していくことが大切です。
なぜエアコンにカビが発生してしまうの?
カビが発生する条件とは?
カビが繁殖しやすい条件として、以下の3つが挙げられます。
70%以上の高い湿度
カビは高い湿度を好みます。湿度60%以上で活発に動き出し、80%以上になると一気に繁殖します。水気がなかなか切れない場所や、空気の動きがない場所などは特に湿度が高くなりやすい環境といえます。
20~30℃の高めの気温
ヒトも過ごしやすい高めの気温が最もカビが活発に繁殖します。そのため、気温において対策することは難しいといえます。
ホコリ、食べカス、汚れなどの栄養分
わたしたちヒトと異なり、カビにとってはさまざまなものが栄養分になります。食べカスはもちろん、ホコリ、汚れ、ヒトの垢、髪の毛、プラスチックや塗料などあらゆるものがカビのエサになってしまいます。
エアコン内部はカビになる条件が揃いやすい
エアコン内部は稼働していないと密閉空間となります。エアコン内部の湿度は高く保たれやすく、また、フィルターにはカビのエサになるホコリなどの汚れがある状態ですから、カビが生えやすい環境です。
特に、夏場に除湿・冷房でエアコンを使用すると、空気を冷たくするために熱交換器が作用します。そのときに温度差が発生してエアコン内部に結露が発生しやすくなります。
また、冬場でも室内を加湿器などで過剰に加湿したり、室外機と室内機を結ぶ配管に結露が発生したりと環境によっては発生することもありますが、夏場よりは比較的発生はしにくいです。冬場に結露を発見した場合には、まず室内の湿度が高くなりすぎていないか確認しましょう。
エアコン内部でカビが発生しやすい箇所
エアコン内部はカビが発生しやすいとご紹介しました。その対策には掃除が必須となってきますが、その前に特にカビが発生しやすい部分はどこなのか理解していきましょう。
フィルター
フィルターは、エアコン内部に吸い込んだ空気に含有されているホコリなどの汚れを取り除くものです。
部屋の空気が汚れているという自覚がある方は少ないかもしれません。しかし、普段あまり掃除しない棚の上、サッシの上などのホコリなどもエアコンは空気と一緒に吸い込んでおり、フィルターに詰まったホコリを放置すると、カビの発生につながります。
自分で簡単に取り外すことが可能なため、定期的なお手入れをすることが大切な場所です。
吹き出し口
エアコンの吹き出し口は、エアコン内で温度調整された空気を排出する部分です。エアコン内部と外部をつなぐ場所であるため、ここにカビが発生している場合、エアコンから排出される空気はカビを含んでいます。
吹き出し口は自分でも掃除ができる部分であり、またカビが発生した場合すぐに発見することができるため、こまめに確認することがオススメです。
ドレンパン・熱交換器
ドレンパン・熱交換器の2つの状態を目視で確認することはなかなか難しいです。というのも、エアコン内部に収納されているため、カバーを外しただけでは見ることはできません。
しかし、温度調整に直接かかわる部分のため、カビが発生しやすい場所です。フィルターや吹き出し口にカビを発見した場合、ドレンパンや熱交換器にはすでにカビが発生している可能性が高いといえます。
エアコンを日々お手入れすることのメリット
エアコンの掃除をこまめに行うことで、カビ対策になることをご紹介しましたが、他にはどんなメリットが期待できるのかも見ていきます。
部屋に汚れが飛散しない
カビが発生しないこととほぼ同じ効果といえます。空気清浄機や加湿器なども同様で、内部が汚れていると、部屋中に汚れを噴射してしまう可能性があります。
エアコンの効きが改善される
フィルターがホコリなどの汚れで詰まってしまうと、エアコンの空気を吸い込む力や吐き出す力も弱まってしまいます。そのため、なかなか設定した温度にならなくなってしまいますが、きちんと掃除をすることで本来のチカラを発揮してくれます。
余計な電気代がかからない、節約になる
ホコリなどの汚れが詰まったフィルターのまま無理やりエアコンを稼働させると、より強いチカラを使って温度調整を行おうとします。そのために余計な電力を使ってしまうのです。
エアコンの掃除は健康面だけでなく、節約という面からも大切ですね。
エアコンの故障や不具合を防げる
汚れたままの状態のエアコンを使用し続ければ、当然エアコンにかかる負荷も高まり、故障や不具合につながりやすくなります。
エアコンを長く使用するためにも、こまめに手入れをしましょう。
自分でできるエアコンの掃除方法
今回、自分でできる掃除方法としてご紹介するのはエアコンの以下の箇所です。
- 吹き出し口
- フィルター
- カバー
上記以外の部分に関しては、自分で行うことで破損や故障につながってしまうケースもあります。インターネットで検索すると、さまざまな掃除方法が紹介されていますが、自己責任で行いましょう。
不安がある場合には、プロの業者の方にお願いするのがオススメです。破損や故障につながるだけでなく、掃除の出来にムラができてしまい、カビが残ったままになってしまうこともあります。自分で行うのか、業者に依頼するのか、よく調べて慎重に決めるようにしてください。
準備するもの
掃除をするにあたって、以下のものを準備しましょう。
- 手袋
- 中性洗剤やフィルター洗浄スプレー
- 雑巾などの布かハンディモップなど
- 歯ブラシ
- 脚立
- マスク
- 新聞紙やビニールシートなど
ホコリが舞ってしまったときなどのためにマスクを着用して掃除をするのがオススメです。新聞紙などはエアコン付近の床に敷いて、ホコリが舞ってしまったときフィルターなどを洗ったあとに乾かすときに敷くと便利です。
エアコンの掃除の手順
下準備
まずは、掃除する前に環境を整えましょう。
そのまま掃除を行うと、フィルターを取り外す際にホコリが舞ってしまう可能性や感電の可能性があります。そのため、以下の3点を行いましょう。
- マスクを着用する
- 新聞紙やビニールシートなどをエアコン周りの床に敷く
- エアコンの電源コンセントを抜く
掃除手順
それでは、実際の掃除の手順をご紹介します。
①本体カバーを雑巾などの布やハンディモップで乾拭きする
エアコンの上部はホコリなどがたまりやすいため、目視で確認しながら掃除をするのがオススメです。
また、水拭きする場合には、エアコン内部に水分が入ってしまわないように固く絞ってから拭くようにしましょう。
②エアコンの本体カバーを取り外す
本体カバーの取り外し方は機種によって異なります。そのため、ムリに取り外そうとするのではなく、取扱説明書を確認するようにしましょう。代表的なエアコンメーカーのカバーの取り外し方は以下のリンクからご覧になれます。
ここに載っていないメーカーのエアコンについても検索するとすぐに調べられます。故障などを防ぐためにも一度調べてから行うようにしましょう。
③フィルターを外す
ゆっくりと慎重にフィルターを外します。
下手に外すと、頭からホコリをかぶってしまうなんてことにもなりかねません。
④フィルターを掃除する
フィルターを掃除する場合、以下の方法に分けられます。
- フィルター洗浄スプレーを用いる
- 中性洗剤を用いて洗う
- 掃除機でホコリをある程度吸ってから上記の2つのいずれかを行う
フィルターに付着したホコリの量が多い場合、掃除機でホコリを吸い取ってから洗うのがよいでしょう。
掃除機を使用する場合、必ずフィルターの表側から吸い込むようにしてください。
フィルターの裏側から掃除機を使用すると、フィルターの目により深くホコリが詰まってしまう可能性があります。
逆に、フィルターを洗うときはフィルターの裏側にシャワーを当てて、水圧でホコリを押し出すイメージで洗いましょう。
汚れがなかなか取れないときは歯ブラシなどを使用しますが、あまりゴシゴシ強くこすってしまうとフィルターが傷ついてしまうかもしれませんので注意してください。
フィルター洗浄スプレーと中性洗剤どちらを使用した場合も、使用後は成分がフィルターに残らないように丁寧に洗い流しましょう。水洗い後は、水気がなくなるまで、しっかりと乾燥させます。
⑤吹き出し口を掃除する
吹き出し口はルーバーという名称があります。
取り外し可能な機種が多いですが、無理やり行うと破損につながる場合がありますのでオススメしません。各メーカーのホームページよりルーバーの取り外しについて確認するのがよいでしょう。
エアコンの風向きを変えるときのようにルーバーの向きを変えて、届く範囲で拭くようにします。ただし、ルーバーが固く向きが変わらない場合は無理に動かさないでください。狭い部分のため、布で拭きにくい場合には棒にキッチンペーパーを巻いて拭くこともオススメです。
エアコン内部の掃除
熱交換器、フィンなどエアコン全体の掃除は業者の方にお願いするようにしましょう。業者やエアコンの機種、台数によって異なりますが、1台の相場は大体10,000円~14,000円程度です。自分で行う場合にも準備物のコストがかかりますから、手間や故障のリスクがあることを考えても業者に依頼するほうがオススメです。
エアコンにカビを発生させないための予防法3つ
カビの掃除方法についてご紹介しましたが、日ごろからお手入れを行うことで、発生を抑制することが大切です。カビの抑制は、小さな手間をコツコツ行うことがポイントになります。
エアコン内部を乾燥させる
夏場、エアコンを除湿・冷房モードで使用したあとにすぐに停止をしていませんか?
すぐに停止をすると、エアコン内部は空気を冷やすために温度差が発生しており、そのまま放置しておくと結露になってしまう可能性があります。
そこで、除湿・冷房モードの後には送風や暖房にして30分~2時間程度稼働させるようにしましょう。送風の代わりに内部クリーン機能がついているエアコンの場合はそちらを稼働させます。
ただし、冷房シーズンが終わり、使用しない期間に入る前には送風で半日ほど稼働させるようにと説明があるメーカーが多くあります。送風がない場合の対処方法も記載されていますので、各メーカーのホームページから確認するようにしましょう。
定期的なフィルターの掃除・交換
エアコンの掃除とは別に、フィルターの掃除・交換をするようにしましょう。
目安としては2週間~月1回に一度の頻度ですが、掃除頻度は掃除業者によっても意見が異なります。ご家庭での使用頻度や汚れ具合から適切な頻度を見つけるようにしてください。
フィルターの交換頻度の目安は、汚れが取れないときや破損したときです。カビが深くまで根を張ってしまっているときには、掃除をしても汚れが取れず、ニオイも取れないことがあります。そういったときには交換するのがよいでしょう。
お部屋の空気を除菌する
カビに効果のあるアルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどを吹きかけたりすることで、エアコン内部に液が入ってしまうと金属の腐食などの可能性があることから、エアコンの掃除には使用することはオススメできません。
しかし、そうなると、エアコン内部の掃除は年に数回しかできないことになってしまい、いくらエアコン表面に近いフィルターや吹き出し口を掃除したとしても、内部にはカビがはびこってしまう可能性があります。
そこで、エアコンが吸い込む空気の中にカビに効果のある除菌成分を含有させることで、エアコン内部のカビ発生の抑制が見込めます。
エアコンの上に空間除菌製品を置いておくことで、発生した除菌成分がすぐにエアコン内部に取り込まれるためオススメです。気になる方は以下のリンクからご覧ください。
→「エアアンチウイルス 置き型タイプ」の楽天市場ページへ
ここまでご紹介したエアコンの掃除スケジュールのシミュレーションを作成しました。このシミュレーションは絶対のものではなく、あくまで目安として参考にしてください。
エアコンのカビ対策に関するよくある質問
エアコンを使用しない、もしくは使用頻度が少ない場合はカビ対策しなくても大丈夫ですか?
使用頻度が少なくても、カビは繁殖します。現代の住宅は気密性が高く、気温や湿度が保たれやすいために1年中部屋のどこでもカビが繁殖する条件が整っています。さらにエアコンは密閉空間ですから、ホコリや汚れ、結露などの水分といった環境が揃うと、気づかないうちにカビが増殖してしまうことがあります。使用頻度が少なくても、こまめに確認するようにしましょう。
自分でエアコンのお手入れができない場合はどうすればいいですか?
さまざまな掃除業者があり、比較サイトなども充実していますので、ご自身に合った条件の業者を見つけて依頼をするのがよいでしょう。無理に自分で掃除をした場合、故障・破損させてしまう可能性もありますから、信頼できる業者を見つけることがオススメです。
まとめ
エアコンはしっかりお手入れをしてあげることで生活の快適さを保ってくれる大切な家電です。しかし、お手入れを怠ってしまうと、最悪の場合、健康トラブルにつながってしまうことも。
シーズンごとにお手入れをしっかりと行うことで、快適な生活を送りましょう。